隠し文字
2016年7月4日
スクラッチ印刷の中身の文字
紙の表面を「擦る」ことで文字が浮かびあがる削りカスがでないスクラッチ印刷ですが、
中身の文字にも印刷するうえでの決まりがあります。
削りカスがでないスクラッチ印刷自体ちょっと特殊な加工ですので、
それにともなって中身の文字にもちょっとした一手間が必要になるのですね。
今回は、その中身の文字の内容を通して、
印刷物における豆知識のひとつともいえる「平網」についても見ていきましょう。
隠し文字について
削りカスがでないスクラッチ印刷では、スクラッチ部分の中に設定する隠し文字について
「10ポイント以上の太めのゴシック系」をおすすめしています。
これは、文字が小さかったり細すぎたりすると、スクラッチ部分をこすった時に
アタリやハズレ、1等・2等といった文字が見えにくくなったりする場合があるためです。
そして、隠し文字の平網のパーセントは「スミ50%」にて作成いただいています。
スミ50%というと、Illustrator上での色設定において色をスミ(CMYKのK)1色にして
濃さを50%に設定したものですね。
では、「平網」とはいったいなんの事でしょうか?
「平網」とはなにか
通常の印刷物はアミ点と呼ばれる細かい点の集まりで色を再現しています。
シアン・マゼンタ・イエロー・ブラック(CMYK)の4色それぞれのアミ点が重なりあって、
カラーの色を再現しているということになります。
そして薄い色はアミ点が小さく、濃い色になるにつれアミ点が大きくなっていきますが、
それによって白い部分と点とのすきまが変動し、そのバランスで色の濃淡がつくのです。
薄い色→濃い色でのアミ点の図。薄い色ほどアミ点が小さく、
濃い色ほどアミ点が大きくなっていくのがわかります。
平網とは、上記のようなアミ点で塗られた罫線や面の部分、
またその網自体のことをいいます。
反対に、スミ100%などのインキ濃度が100%の色は、
アミ点がなく「ベタ」といわれています。
補足として、Illustratorの画面上ではスミ100%はアミ点なしのベタで表示されますが、
仮にスミ50%の部分をどんなに拡大しても、アミ点としては表示されません。
これは、印刷前のデータ出力工程においてアミ点化されるためで、
もともとIllustratorではそういった表示がされていないのです。
おわりに
今回は、削りカスがでないスクラッチの隠し文字を通して、
印刷物全般の平網について見てきました。
上記のようにIllustrator上ではアミ点を確認することはできませんが、
身の回りにある実際の印刷物を虫めがねなどで拡大してよく見ると、
印刷物が点々のあつまりで出来ているのが見えておもしろいですよ。