印刷と水の関係
2016年12月24日
オフセット印刷を行う上で水がなければ印刷する事はできません。
それほど水は重要となります。
オフセット印刷方式とは水と油の相反発する力を利用した方式です。
PS版と呼ばれるアルミ版に焼き付けを行い、
インキのつく部分(画線部)とつかない部分(非画線部)に
現像を行います。
PS版上での水はインキのつく部分では弾いて、
そこにインキがのる仕組みとなり、
つかない部分には水が残ってインキがつかない原理となります。
この原理にするためには、水の管理が必要となってきます。
よくアルカリ性や酸性などの用語をききますが、
印刷工程の中ではpH値(ペーハー)の単位で管理されます。
pH値上でのpHは1~14の数字で表示し、7が中性となり、
1~7までの値はその数字が小さいほど強い酸となり、
7~14までの値は数字が大きいほど強いアルカリとなります。
一般的には、オフセット印刷における湿し水のpH値は5~6が
よいと言われています(弱酸性)
pH値と印刷の関係についてはpH値が小さすぎる
(酸性が強すぎる)場合は、汚れを除く力が強くなります。
しかし、あまり酸性が強くになると非画線部の金属が
溶かされて、逆に汚れの原因となります。
また、インキ乾燥が遅くなったり、刷版の耐刷力が
なくなったりして版持ちが悪くなります。
逆にpH値が高すぎる(アルカリ性が強すぎる)場合は、
非画線部の親水被膜が壊れやすくなり、
汚れが出やすくなります。インキと水が混じりやすくなり、
汚れやその他のトラブルを引き起こす原因となります。
pH値は高すぎても、低すぎてもトラブルが
出てしまう事になります。
そのために管理が重要になるわけです。
印刷で使われる水は普通の水道水とは違います。
水道水だけでも印刷する事は可能ですが
そのままではトラブルとなってしまいます。
それを回避するために助剤をいれて印刷に
適正な水(弱酸性)にします。
そうして調整した水を湿し水と呼びます。
湿し水とは、オフセット印刷において版面上での
低い表面張力、適度なインキ乳化性、印刷適性を持った
希釈済みの循環使用水のことです。
通常湿し水の温度は20℃以下に保つ必要があり、
水舟内で7~15℃くらいがよいとされており、
冷却機によって一定に保たれています。
また、湿し水の交換は月に1回程度といわれていますが、
水槽内の水量は機械によって違いはあるものの
100~200L以上とされていますので、
交換時には相当の廃液が発生してしまうと
同時に水道代などのコストも都度かかってしまいます。
最近は循環装置にろ過器などを追加することで、
交換時期が1年ぐらい不要のものもあります。
こうした事で環境面などを考慮した機器類なども注目され、
エコ化なども取り組んでいる印刷会社も増えてきています。
また業界においては環境保護を目的として認証制度も
各企業において推進しているのも近年増えてきている傾向にあります。